第21章 21日目
気づけば定時。
あれから仕事が何も手につかず、いつ周囲にあの「二股彼女」が私だってバレるかが心配で堪らなかった。
ため息だけが出る。何もしていないのに、凄く疲れた。
携帯を取り出して見ても二宮くんからの連絡は、ない。私に連絡する暇なんて、ないよね。うつ向いていると、急に腕を捕まれて、引っ張られた。
「す、住久くん!?」
私は引っ張られるがまま、住久くんの後をついて行く。同じ階にある倉庫室の鍵をカードキーで素早く開け、先に住久くんが中に入り、二人きりになる。
「…あ、の住久くん?」
背中を向ける住久くんに声をかける。
「…、俺間違ってたら言って欲しい。お前の付き合ってる人ってまさか、二宮…和也なの?」
額に感じる汗や動悸や喉の乾きは、
クーラーの効いてないこの狭い部屋のせい?
「……違うならちゃんと言えって。」
黙る私にもう一度確かめるように話す住久くん。今更、住久くんには黙っておけない。だってもう住久くんに迷惑かけてるから。