第21章 21日目
居酒屋さんでの一件が終わった翌日、会社で住久くんに会うといつも通りの表情で「おはよう。」と言われた。
「おはよう。昨日は、ありがとう。」
「いやいや、お安いご用ですよ。」
そう明るく言いながら振る舞う住久くんの視線に気付いて、
「あ、大丈夫だよ。もう赤くない。」
と昨日の捕まれた部分が見えるように袖をまくって見せた。
「…よかった。一応女の子だからどうしようかと思ってた。」
住久くんが安心したように笑ってくれた。この人は本当に同期の男の子なんだろうか、やっぱりお兄ちゃんみたいな存在で(お兄ちゃんなんていないから想像だけど)どこか安心できる。
…ん?待って、
「住久くん、1つ伺いますが、一応って…?」
「あはは、嘘嘘。じゃあまた後で。」
ポンっと肩を叩かれ、優しく微笑まれた。住久くんは何かあっても、私が言わない限り深くは干渉してこない。今回もまたそうだった。…優しい人だ。