第20章 20日目
あっという間に二宮くんとゆっくりいられる時間が過ぎていく。今日で3日目、勝手に新婚さんごっこはおしまい。別に最後のお別れじゃないけれど、こんなに二宮くんの匂いでいっぱいになった私の部屋で、明日からまた1人だと思うと寂しさが溢れだす。
「…、?」
自分の寂しさに浸りすぎて、二宮くんの声に気付かなかった。
「あ、はい!」
「寂しさ、全開。」
ふふ、と笑う二宮くん。
笑い事じゃありません。私は寂しいんです。
「私のせい、でーすか。」
言葉と言葉の間にわざと間隔を開け、その言葉の間に首を可愛く傾け、私の顔を除く。計算男子。
「……いや、勝手に寂しくなりました。」
「ふふ、馬鹿だなあ」
「馬鹿、じゃないもん。二宮くんとは違って感情が豊かなだけだもん。」
「確かに、大抵の馬鹿ってそう、」
うう、言い返せない。
「ほら、行くよ。」
二宮くんが急に立ち上がる。
「え、どこに!」
「たまには、ね。」
行き先を教えてくれない二宮くん。もうドキドキなんて十分なんだけどなあ。