第19章 19日目
「え!?あ、はい。」
「最近、美味しい?て聞かなくなったね。」
「あ、うん。」
「夫婦の会話が無くなるような気持ちで、少し寂しいんだけど。」
「…ふふ、」
「なんで、笑うの。」
「…あ、うん。もう聞かなくてもわかるんだ。二宮くんが美味しいって思ってくれてるって。」
今だって、そうでしょ?口を動かしながらも手が止まらない。
「そうなの?凄いね、。
俺旨くなさそうに食うってよく怒られるよ。」
「え?そうなの?」
美味しくなさそう?そうだっけ?確かに無言で眉間にシワを寄せてモグモグしていることはある。私にはそれが面白くって、あんまり気にしてなかったけど、そういうことかな。
「…にはわかるんだ。」
二宮くんはまだモグモグしながら口元を嬉しそうにさせた。
「こうやって、ずっと一緒にいたらもっと理解してくれて、私はのこともっともっと好きになるんでしょうね。」
そんなことを普通の会話で、サラッと言ってしまう二宮くんと毎日一緒だなんて…
「…毎日心臓止まります。」
私がそう言うと、ニヤッと意地悪な顔をして上目使いでこっちを見る。
「いいじゃん、キスしたら目覚めてくれるんでしょ?メルヘンすぎて素敵じゃない。」
「…二宮くん、これはバカップルです。」
「知ってる。バカップル最高。」
そう言って「あーんして、」と恥ずかしげもなく口を開ける二宮くんの小悪魔加減に、私だけはまともでありたいと、そう心に誓っていたのに。
その姿があまりにも可愛くて、参ったと脱帽してしまうのでした。
『3日目の同棲生活 2日目』END.