第2章 失いたくない存在
少し落ち着きを取り戻していた時。
「…少佐?」
「今はムウでいいよ」
「…ムウ」
「なぁに?」
「何…してるの?」
「え?」
「手!手よ!どこ触ってるんですかっ?!」
左腕だけで器用にマリューを抱きしめていたのだが、空いた右手はマリューの胸を触っている。
ムウはニコニコ顔で
「いいじゃない、今しかこんなイチャイチャできないんだから」なんて余裕綽々で答える。
「よくないっ!
も~、離してぇっ!」
「そんなこと言われるとますます離したくなくなるな~」
キッと睨むマリューすら可愛くて仕方ないムウにはそんな抵抗は無意味で。
「さ、マリューさんのお部屋に行きましょうかっ」
「えっ、い、今から?!」
「当たり前でしょ!あんなかわいい泣き顔見せられちゃぁ、我慢なんてできるわけないんだから!」
「なっ…」
「それともここでするの?」
ニヤッと笑われ
「わ、わ、わかったわよ!」
しぶしぶ答えたマリュー。
ムウはしたり顔で。
二人が食堂から消えたのは午前3時を回る頃。
当然、寝る暇なんてなかったのは言うまでもなく。
こうして、二人の夜は明けていくのだった。