第18章 *足りない心を満たしてよ feat.青峰
誠凛と対戦して負けたあの日。
あれから数日経ったけど、大輝くんはその間、がらっと変わった。
それはいい方向であり、例えばちゃんと練習に出るようになったり、バスケを楽しんだり、という感じなんだけど…。
幸か不幸か、こっちはものすっごく暇である。
というのも、大輝くんが部活をサボってた時は、大抵私と話す・出かけるか、屋上にいるかのどちらかだったからだ。
私は帰宅部だから年中暇だし、一応大輝くんは彼氏だから、構ってもらえるのは嬉しかった。
部活はサボりだから、複雑な気持ちでもあったけど…いざこうしてみると、驚くほど暇だ。
「大輝くん、部活頑張ってんだろーなぁ…」
いっそ私がマネージャーになろうか。
…やめよ、さつきちゃんの美人さに落ち込みそう。
でも、大輝くんの頑張ってるとこが見れるなら…
いやいや、そんな不純な動機じゃ務まらないんじゃ…
うーんうーんと唸り続ける私。
そんな私のケータイに、メールが届き、着信音を鳴らした。
「ん…?あ、大輝くんからだ!」
嬉しすぎてテンパって、中々メールを開けない。
悪戦苦闘の末、ようやく本文を読むことができた。
件名はなし、文も短い。
いかにも今忙しいです、って感じの文だけど、その一言だけでも、私の心を満たすには十分だった。
『週末、俺と出かけろ』
*足りない心を満たしてよ*
会えないと少し寂しいけど、
ちょっとのことも嬉しく感じる。
次にあなたに会えるのは、いつかな。