第17章 *好きだった、なんて嘘 feat.森山
「遠野、ずっと好きだったよ。」
伏線なんて何もなく、本当に突然、好きな人に告白されました。
「……えっ!?い、今、なんて…?」
「だから、好きだったんだよ、遠野のことが。」
いつもの残念さがなくなった森山くんは、もうただのかっこいい人で。
誤魔化すこともできず、私の顔は赤くなるばかりだった。
いつも可愛い子に運命の人と言ってる時の様子とは違う彼は、まるで別人で……
「なんて、嘘。」
…はい?
「ごめん、遠野がどんな反応するか気になって。」
「さ…さ、さいってー……!!」
それまで真っ赤だった私の顔は、今は別の意味で赤くなる。
でもよかった。
今の状態があと少しでも続いてたら、私まで告白してたから。
言わなくて本当…よかった。
「女の子で遊ぶのも、大概にしてよね…。」
「今の嘘は、遠野にしか言ってないけど?」
「だからそれをやめてって言ってるの!」
森山くんを拒否するように、そう言い放つ。
でも彼は、背を向けた私を後ろからそっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「好きだった、は嘘。今も好きだよ。俺と付き合ってくれないかな?」
甘い甘い告白は、いつまでも私の耳に木霊する。
「…ややこしいことしないでよ、ばか…。」
口ではそう言いつつ、私にはもう、彼を拒むことなんてできなかった。
*好きだった、なんて嘘*
「好きだった」でも伝わるのに、
あえてこんなことをしたのは、
君なりの照れ隠しなのかな。