第14章 *いじわるの原因 feat.宮地
好きな人こそいじめたい。
……知ってます、小学生男子の思考ってことくらい。
そしてあたしが、高校生女子だってことくらい。
しかも一応、今年度を終えたら卒業する身である。
「…おい、俺の赤ペンはどこやった」
「えー?どこでしょー?あたしじゃないよ?」
分かりやすい嘘を知らん顔でつくあたし。
疑問符をつけないあたり、今回はかなりお怒りなようだけど、しーらない。
「しょうがないなぁ、あたしのペンを貸してあげよう。」
「どこがだよ!どう考えてもお前のせいだろ!」
「貸してほしいのはこの金のペンか、それとも銀のペンか?」
「それ──っ!その左手の、お前曰く銀のペン!俺のだろ、返せ!」
「あ、こちら品切れとなっておりますー。」
「轢殺刺殺射殺毒殺撲殺爆殺絞殺溺殺焼殺電殺虐殺殺殺殺殺……」
周囲がドン引きするレベル(実際してる)で殺人用語を並べ立てると、怜悧な視線で射抜くようにあたしを見つめた。
そんな宮地を見て、あたしは一言。
「……ご、ごめんってば。」
あっさり謝ってしまった。
さすがに今のは怖い、ちょっとのきっかけで事件が起こりそうだ。
死亡フラグ設立を回避したあたしは、宮地に大人しくペンを渡す。
「…んだよ、そんなに怖いかよ。」
それなのに、宮地は何故か不満そうで。
「いや、いたずらは楽しいけど、死にたくはないし。」
「はぁ!?別に、本当に殺したりなんてしねぇよ!…その…っ」
かぁあ、と怒りとは別の意味で顔を真っ赤にした宮地は、小さく呟く。
「お前に絡まれんの…嫌いじゃ…ねぇし。」
初めて聞いた宮地の本音に、あたしは、悪戯な笑みを浮かべて見せた。
*いじわるの原因*
好きな人こそいじめたい。
あたしの性格にも問題はあるけど、
あなたのせいでもあるでしょ?