第8章 *確信犯 feat.黄瀬
人気者の彼と付き合うのは、大変だ。
たくさんのファンの子に囲まれて笑顔を振りまく姿に、嫉妬しちゃうことも少なからずある。
でも、その日黄瀬くんは、必ず「香奈っちが1番っスよ」って言ってくれた。
あたし、嫉妬してることなんて一言も言ってないのにね。
お仕事が忙しいらしく、なかなか二人きりの時間が取れなくなって、寂しくなった時もある。
その時は、寝る前に必ず電話してくれて、最後に優しく「おやすみ、香奈っち。」って言ってくれた。
その声だけで、黄瀬くんが隣にいるようで、すごく安心して眠れるんだよ。
ちょっとした悩みや想いに、すぐに気づいてくれる。
黄瀬くんと付き合ってたら、大変なことだって多い。
けどね。
「香奈っち…大好き。」
「それ、毎日言ってるじゃない。」
「毎日好きなんス!う、ウザかったらごめん…。」
笑い混じりで言ったのに、不安になったのか、しゅんとなる。
耳の下がった犬と重なって、またくすっと笑ってしまった。
「そんなこと言ってないでしょ?あたしだって…毎日大好きだもん。」
「っ…あ、あう…!で、で、デレたぁぁ〜…っ!何スかその極上スマイル!キュン死んじゃうっス!」
「何言ってんの…。死ぬわけないでしょ、大げさだなぁ。」
「デレの後のツンも可愛いっス…!ほんと、大好きっ!」
毎日愛を伝えてくれる。
抱きしめてたくさん温もりをくれる。
些細な不安も消してくれる。
私、黄瀬くんと付き合えて、すごく幸せだよ。
*確信犯*
小さな想いに気がついて、
もっと好きにならせちゃう。
君は、恋の確信犯。