第1章 Pr.雨模様の晴天柄
「潤、ここにいてね」
来たくもなかったデパートで、4階の本屋に残されたことだけが幸いだろうか。
本を読むことが好きなボクは、様々な本を物色していた。しかし、暫くして──
ボクらのいるデパートは、頭の悪そうなリーダー率いるテロリストに、占拠されてしまった。
(……どうして、こんなことに)
頭は悪そうだが身体能力だけは高く、ボクなんかはあっというまに縛り上げられてしまった。
「……はあ」
後ろ手で縛られ、動くことも叶わず。退屈でボクはため息を着いた。
暫くしたら警察が助けに来るだろうなんて、浮ついたことを考えて、本棚に寄りかかる。
刹那。
ガシャリとガラスの割れる音、遅れて発砲音。ちらっと様子をみれば、ヘリで窓から警官が侵入してきたところだった。
警官は凄まじい射撃の精度でテロリストたちの手元から銃を落として行く。
しかしテロリストも負けじと警官に弾を放つ。……しかし警官に当たる様子はない。
まるでゲームか漫画のようだと思いながらぼーっとしていると、
警官がかわした一発の銃弾が跳弾。それは、そのまま、ボクの方へ向かって来て。
……心臓に、突き刺さった。
声も出ない。
あたりまえだ。死ぬときに大声なんてあげられない。
……。
痛みは、なぜかなかった。
ただ、喪失感と、目の前が暗くなって行く感覚の狭間にとらわれて、
ボクはそのまま意識を手放した。