第3章 彼にとってのその日
「………エルヴィン?」
自分が今どんな顔をしているか
正直わからない。
少し離れたリナの身体を
すぐにまた引き寄せ、
抱き締めた。
「ありがとう。」
自分らしくない
情けない声。
こんな弱さを
見せたのはいつ振りか。
どうして彼女は
こんなにも
俺を揺さぶるのか。
「エルヴィン、
ちょっと苦しい。」
「あぁ、すまない。」
つい抱き締めすぎていたらしい。
でも、
それだけ感情は昂り、
離したくないと思った。
「エルヴィンにやにやしてる。」
そうか、
俺はそんな顔をしてるのか。
自覚すると、
余計抑えられない程に
感情が湧く。