第4章 エルヴィン・スミスは未来へ突き進む
「あたし、ハンジ・ゾエ。貴方と話してみたかったんだ!
・・・けど、なかなかそういう機会が無かったから
貴方とぶつかれて良かったよ!」
俺はその名前に覚えがあった。
つい先日提出された巨人に関する論文の中に、
とても興味を引く内容のものがあったのだ。
「ハンジ・・・ゾエ?君が巨人生態論文の筆者か?」
「おお!やっぱ読んでくれてたんだ!
貴方なら読んでくれてると思ってた!
何故かあたしの論文ってあまり読んでもらえないんだよねー。
調査兵団に入れば少しは違うかと思ったけど、
団長はダメだ。分隊長にも嫌な顔されたし、
こうして嫌な顔せずにいてくれたのは貴方だけだよ、
エルヴィン・スミス」
ハンジは笑ってそう言ったが、
真剣に書いた論文をまともに取り合ってもらえず悔しかったと思う。
彼女の言葉の端々に俺と同じ調査兵団への落胆が垣間見えた。
「そうか、君の論文は大変興味深かった、
・・・が、少々回りくどい言い回しをし過ぎている気がする。
無駄な部分を削って、もう一度私に提出してくれないか?」
「えっ!?良いのっ!?」
「ただし、これは『調査兵団という組織』には
反映されないものと考えてくれ。
それでも書きたいという気持ちがあるなら、
私の所へ持って来なさい。無駄にはしない」
ハンジは一瞬目を見張ったが、
すぐに俺の言いたいことがわかったらしい。
「出世払いって事にしておくよ、エルヴィン。
あたしは貴方に期待する事に決めた」
ハンジが嬉しそうに笑ったので、俺も自然と頬が緩んだ。
新しい仲間が出来た事に喜びを覚える。