第2章 ナイル・ドークから見た二人
「だ、だから何だってんだ!近い内に娼館にでも行って
卒業してやらぁ!」
「娼館は止めた方が良いよ。
ケバくて態とらしく声を上げる女性って微妙だったよ」
お育ちが良さそうなエルヴィンにそう言われて、
俺は更に言葉を失った。
こいつ、娼館に行ったことあんのっ!?
俺の疑問を感じ取った二人は、
次々にいらん事を言ってきた。
「・・・商売女よりも素人女の方が良いぞ。
でも童貞なら商売女の方がリードしてくれるから、
何も知らなくてもあっという間に童貞卒業だ」
「そうだね、俺もミケと同意見だ。
商売女のリスクは童貞の場合、カモにされやすい事だよ。
ナイルは多分カモだね。因みに俺は小柄な女性が好きだから、
告白してきた子を片っ端から・・・」
「えええええええええええええええええっ!?
おまえらちょっとおかしくないかっ!?特にエルヴィン!
その人畜無害そうでピュアそうなおまえが、
とんだ肉食獣かよっ!?」
「ナイル・・・男は皆、獰猛な肉食獣だ。
綺麗事じゃ生きていけない」
「何、真理悟っちゃってますみたいに言ってんだよ!
くっそムカつくな!たかが女を抱いたことあるくらいで
偉そうにすんな!」
二人の胸倉を掴んで揺さぶっていると、
不意に二人が笑い出した。
ついに頭がおかしくなったか?
(つーか、最初からおかしかった気もするが)と
訝しんでいるとエルヴィンが綺麗な笑みを浮かべて言った。
「良かった。ナイルは俺達の事恐くないみたいじゃないか」
その言葉で俺は漸く二人と戯れていた事に気づく。
医務室に運ばれて起きるまで、
ガッチガチにこいつらを恐がっていたのに、
今はもう全然恐いとは思わなくなっていた。