第1章 プロローグ
私が止めたところでそれは、止められるものじゃない。
同行は決してさせてもらえるものじゃない。
優実「気を付けて下さい」
それしか言えない。
北条軍が出るってことは、おじいちゃんが?
顔が俯いてしまう。
小十郎「政宗様」
政宗「なんだ小十郎」
小十郎「北条軍は伝説の忍び風魔小太郎に」
政宗「初めからそのつもりだ、あの爺さんは小田原城でおとなしくしててもらう」
おじいちゃんは出ない?
政宗様は自室に戻り、広間には私と小十郎様だけが残った。
小十郎様と政宗様は私に気を使ったの?
小十郎「北条の爺さんが出たところで、足を引っ張るとかそうゆうわけじゃねぇ、ただ小田原城が心配だろ?」
顔を上げると優しそうな表情をしている。
小十郎様は腰を上げて、立ち上がり私の方を向いて言う。
小十郎「さてと俺は夕餉の支度に掛かる。 優実姫は自室にでも行け」
お手伝いさせてもらえないだろうか?
優実「夕餉の支度お手伝いさせて下さい」
小十郎「別にいいが」
良かった断られるかと思っていたから。
小十郎様に案内されて、台所までついて行く。
様々な食材を切っていると、小十郎様が私の包丁さばきを横目で見て言う。
小十郎「お前の包丁さばき、なかなか上手いな」
そうだろうか?
私はまだまだと思っているのに。
優実「小田原城にいた頃に、侍女の手伝いをしていたのです」
小十郎「姫の身分なのにか?」
身分とかそうゆうのは、私にとってどうでもいい。
ただお手伝いは小さい頃からの習慣があった。
優実「小さい頃からお手伝いをしていたのです」
小十郎「習慣か・・・・」
私のほかにも手伝いをしている人はいたけど。
数は少ない。
優実「あの夕餉の手伝いを、している足軽さんの数が少ないように思うのですが」
小十郎「みんな伊達軍は、そこまで器用な人間は少ない」
けれど教え込めば増えると思う。
とにかく今はそんなこと話をしている場合じゃない。
夕餉の準備に集中しなきゃ。
それから一時間程経過して、ようやく夕餉ができた。
私の夕餉の膳は自室に運ぶ。
明日には伊達軍は今川軍を撃ちに出立してしまう。
今日は早く寝て、出立の見送りに。
すると、天井から突然風魔さんが現れた。