第13章 -新旧光対決 Part2-
あっという間に誠凛の速攻…
でも…
バチッ……
またしても大ちゃんが追いつき、
大ちゃんは火神さんのシュートを止めた。
「大ちゃん‼︎」
わたしは思わず声に出して、
ふぅ…と安心してしまう。
「はぁ…。」
「…?どうしたんですか?」
さっきは呆れて苦笑いしていた
虹村先輩が、
今度はため息をついている。
「なんでもねーよ。(やっぱ今も…
青峰しか眼中ねぇんだな。)」
…っ‼︎
虹村先輩と話しながらも、
わたしはコートから…
大ちゃんから目を離せなかった。
大ちゃんばかりを見ていた。
だから…すぐにわかった。
コートの中にいる
大ちゃんが笑ったのだ。
「はっ⁈
あいつ、あんな動きすんのかよ?」
後ろで高尾さんが
声に出して驚いている。
「すげぇな…」
大ちゃんのプレイを
間近で見ていた虹村先輩以外は、
皆あっけに取られているようだった。
大ちゃんの動きは、
さっきの笑顔を合図に、
変則的なものとなった。
「大ちゃん…‼︎」
変幻自在…
「「「うぉぉぉ!!」」」
火神さんを抜き去った大ちゃんは、
ゴール下の誠凛の3人を物ともせず、
ゴールの裏からシュートを決めた。
大ちゃんの瞳には、
また光が輝いていた。
その光の主なのかな…
あれだけコテンパンに
大ちゃんに抜かれたら、
すぐ諦めちゃう人ばかりなのに、
火神さんの瞳は、
光輝くどころか
燃えているようだった。
それでも、誠凛は手も足も出ない。
大ちゃんの挑発めいた動きのせいか、
誠凛はついに黒子さんを
コートに呼び戻し、
誠凛はようやく後半初得点を決めた。
でも、新しい光と影のパスは…
大ちゃんを前にして、
通ることはなかった。
第4Qの途中で火神さんは
ベンチに下がった。
この間公園で会った時、
お姉ちゃんが言ってた足の怪我は、
やっぱりまだ
完治していなかったみたいだった。
火神さんがいなくなっても、
誠凛はベンチも含め、
誰1人諦めていなかった。
いいチームだなぁ…
でも…
112対55
桐皇学園の圧勝だった。
圧勝だったのに…
大ちゃんの笑顔はなかった。