第10章 -虹色の先輩-
虹村先輩たちと一緒にいた
きーちゃんに負けず劣らずの
イケメンさんが、
これまた突拍子もないコトを
言ってきた。
皆、自分が知らない女のコを見たら、
その人の彼女だと思うの…
いい加減やめてほしい。
虹村先輩はもちろん大好きだけど、
尊敬してる大好きな先輩であって、
彼女だなんてとんでもない。
わたしが彼女…とかいったら、
虹村先輩に迷惑だよ‼︎
「あの‼︎違います!
わたしは虹村先輩と緑間先輩の後輩で…」
「ふぅん。
(…つぅか、普通に可愛いじゃん。)
あ、つぅか、その緑間は?」
わたしが否定すると、
秀徳のきーちゃん(イケメンだから)は、
あまり関心がなさそうで、
すぐに話題を変えた。
「来たくねーらしーっす。
メールで”いやなのだよ”とだけ…」
「あははーブッ殺ス!」
…っ⁈えぇぇ⁈
イ…イケメンなのに、
すごい物騒な発言するんだなぁ…
「わりぃ、ウチ軽トラ壊れたから、
轢く以外で。」
…っ⁈
坊主の人もイケメンさんにノッた⁈
「おい?すみれ?」
わたしが2人の会話に
呆気にとられていると、
虹村先輩に腕をクイッと引かれ、
ようやくわたしは我に返った。
「…っ⁈あ…すみません…」
「気にすんな。ウチはいつもこんなだし、アレもまぁ…冗談だ…」
「じゃ、パイナップル投げつけるか?」
「それいーな!
パイナップル、トゲトゲしてるし。」
「ドリアンとか匂いキツいのもアリだな。」
虹村先輩のフォローをよそに、
イケメンさんと坊主さんの
物騒な会話は続いていた。
「ほんとに冗談…ですか?」
「…たぶんな。それより、おまえ、
1人で観に来たのか?」
「はい。
お姉ちゃんはマネージャーだし…」
「桃井は桐皇行ったんだったな。」
「…はい。」
虹村先輩は…その後の大ちゃんたち…
キセキの皆のコトを知っているのかな…
聞きたいような聞きたくないような…
わたしは微妙な笑顔で
頷くしかなかった。
「1人なら、オレたちと観るか?」
「え⁈でも…」
虹村先輩は、
わたしの表情を見たからか、
すぐに話題を変え、
思わぬお誘いをしてくれた。
「あ!それいーじゃん‼︎
すみれちゃんも一緒に観よーぜ!
大坪さんたちもいいっすよね⁈」