第3章 -誕生日-
結局、「わたしの誕生日なんだから
言うこと聞いて‼︎」と、
大ちゃんをベッドから追い出し、
大ちゃんと話していたが、
わたしはそのまま寝てしまったらしい。
目が覚めると、
大ちゃんは部屋にいなかった。
意地悪したからかな…
そう不安になってベッドから出ると、
昨日のやり途中の課題のノートに
『10時に出掛けるぞ‼︎』
と、走り書きがあった。
わたしは、ただのノートだけど、
そのノートをギュッと胸に抱き締めた。
ありがとう…大ちゃん…。
トントン…
「すーちゃーん‼︎起きてる?」
「はーい‼︎」
ガチャ…
「お誕生日おめでとう♪」
「ありがとう‼︎」
もう着替えを済ませたお姉ちゃんが、
ニコニコ笑顔で部屋に来た。
「はい!これ!プレゼント♪」
「えっ⁇これ⁈」
わたしとお姉ちゃんが好きな
洋服のお店の大きな
ショップバッグをわたしにくれた。
「あ!さすがに、
わたしからだけじゃないよ。
お父さんとお母さんと3人でね。
ほら、早く開けて開けて!
すみれ、絶対気に入るから!」
お姉ちゃんに促され、包みを開けた。
「これっ⁉︎」
「えへへ〜♪気に入った?」
中に入っていたのは、
この間大ちゃんにあげた小冊子で、
堀北マイちゃんが着ていた
白のレースのトップスに
水色のショートパンツだった。
「可愛いっ‼︎でも…これ…」
「すみれに絶対似合うと思って♪
気に入った⁇」
「うんっ‼︎」
「よかったぁ。
今日も大ちゃんと出掛けるんでしょ?
それ着て行ったら?」
「えっ?でも…」
大ちゃんが可愛いって言ってたから
着てるみたいで、
ちょっと恥ずかしいな…
でも、大ちゃん覚えてないか…。
「せっかくお誕生日なんだし♪ね?
(こないだ、すみれの部屋で、
大ちゃんこの服のページ見てたし、
すみれが着てたら絶対喜ぶ♪)」
「じゃあ…これ着ようかな。
お姉ちゃんは行かないの?」
誕生日に大ちゃんと過ごす時、
お姉ちゃんは遠慮しているのか、
いつも出掛けてしまう。
「うん。
大ちゃんと2人で行っておいで♪」