第9章 少女の記憶「鬼」
「あっ、すごく硬い」
「……角ですからね。
ていうか卑猥な言い方
するのはやめなさいよ」
「ヒワイって何?」
「な……っ何、と言われても」
「ねえヒワイってなーに?」
振り回されている。
鬼神であるこの私が
女の童にブンブンと。
こんな屈辱は感じた事がない。
「……っもう、いいから!
子供は子供らしくベーゴマとか
メンコで遊んだらどうです!」
「何それダッサ」
プチン、と頭の中で音が鳴った。
要は完全にキレた。
このこまっしゃくれに
地獄の恐怖を叩き込んでやる。
「……ちょっとあなた、
閻魔殿(ウチ)に来なさい」
言いながら少女の首根っこを
引っ掴んでいると、遠くから
閻魔大王の声が聞こえてきた。