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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第8章 【沈丁花讃歌】


「どうして、ここに……?」

未だ小刻みに震える紗英は
鬼灯の腕の中で問うた。

彼女の背を優しく
摩っていた鬼灯が
ぽつりと言葉を紡ぐ。

「貴女に……会いに」

鬼灯の言葉はつまり
紗英を買いに来た、
という意味だ。

彼の財布には、
白澤が一日に妓楼で遊ぶ金を
軽く凌ぐ額が用意されている。

「……でも、私は」

「分かっています」

「………」

「言ったでしょう。それでも、
私は貴女が……欲しいんです」

しかし、まさか
こんな獄卒(アホ)が
紛れ込んでいるとは。

鬼灯はそう言葉を足して
深い深い溜息をついた。
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