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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第8章 【沈丁花讃歌】


ちんとんしゃん
てんつく、てん

四方八方から聞こえる
花街らしいBGM。

数十年前までは太鼓や笛など
実際の演奏が為されていたが、

現在ではほぼほぼCDである。

「ささ、どうぞ上がってくんな」

花割烹狐御前のポン引き狐が
人懐こい笑みで鳴いてみせた。

「どの子がええかいな?
ウチは上玉が揃っとるよ」

店先に貼られた遊女達の写真。

オーナー妲己は勿論、
確かに美女だらけだ。

生まれて初めて
妓楼に足を運んだ若い男鬼は
おどおどと目玉を左右に振る。

「この……人に、します」

彼が指差したのは
他の誰でもなく
紗英の写真であった。
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