• テキストサイズ

(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第5章 【ジレンマ】


「ん……っ」

あまりに突然の口付け。

驚いた私は鬼灯様の唇から
逃れようと身体を捩ったが、

両手で頬を包み込まれて
退路を塞がれてしまった。

右にも
左にも

行き場のない唇が
鬼に喰い尽くされていく。

「ん、ふっ、んん……!」

脳裏に浮かぶのは、
悔しい程にあの方の姿。



(……紗英ちゃん)



愛しい幻聴が
心をギュッと苦しくさせる。



「……紗英さん」



叶わぬ恋の面影を
あろうことか鬼灯様に被せて

私は、

紅く艶やかな鬼の舌を
口内に受け入れるのだった。
/ 216ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp