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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─
第5章 【ジレンマ】
「ん……っ」
あまりに突然の口付け。
驚いた私は鬼灯様の唇から
逃れようと身体を捩ったが、
両手で頬を包み込まれて
退路を塞がれてしまった。
右にも
左にも
行き場のない唇が
鬼に喰い尽くされていく。
「ん、ふっ、んん……!」
脳裏に浮かぶのは、
悔しい程にあの方の姿。
(……紗英ちゃん)
愛しい幻聴が
心をギュッと苦しくさせる。
「……紗英さん」
叶わぬ恋の面影を
あろうことか鬼灯様に被せて
私は、
紅く艶やかな鬼の舌を
口内に受け入れるのだった。
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