第16章 【ティファニーで夕食を】
「あっああっ……だめ!
なん……か、出ちゃうっ」
どうしよう
気持ちいい
こんなの……駄目なのに。
私の脆弱な心は
躰に与えられる快感で
徐々に毒されていった。
「……出していいよ」
普段の冷徹なイメージと
まるで違う彼の声音が
心の高ぶりを余計に煽る。
「や、あっ……ああっ」
このまま堕ちてしまえば
少しは楽になるのだろうか。
そう最後に思ったのは
何時の事だっただろう。
「あっ……ん、イクッ……!」
迸る熱と共に私は──……
もう戻れない
もう戻らない
鬼の懐へと
深く、深く
堕ちていくのであった。