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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第15章 出発前夜


ふとした瞬間だ。

紗英の呻き声と
鬼灯の溜め息。

その隙間に出来た
ほんの一瞬の沈黙。


「………」

「………」


どちらからともなく
逸らす視線が再び
重なり合う時──



「あの約束を覚えてますか」



鬼灯が漏らした言葉に
紗英は弾かれたように
顔を上げた。


.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.


空白が埋まる刻
動き出す恋模様

二人の脳裏に浮かぶ
“あの日の約束”

「その代わり約束して下さい」

「何を?」

「白澤(あいつ)が……もし
あなたを酷く傷付けたら、
その時は私が嫁に貰います」

「え……それ、本気なの」

「寧ろ本気でしかない」

「……うん。分かった」




【十五ノ章】
出発前夜___終
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