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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第14章 薄れゆく温もりの中で


ふと、目を覚ました紗英は
些か楽になった身体を
持ち上げて時計を見やった。

午前4時

もうすぐ地獄の夜が明ける。

妓楼にはまだまだ
多くの客がいるが、

この時間ともなると皆
お気に入りの遊女と共に
床に就いているだろう。

「(……体べとべと)」

紗英はなるべく
音を立てぬように
布団から脱け出て、

着替えを用意する為に
遊女控え室に向かった。

商売用の着物や簪、化粧品が
並ぶこの部屋には遊女個人の
私物も多く置いてある。

紗英は自身に
当てがわれている箪笥の
引き出しを開いて、

「……あ」

見覚えある鬼灯の紋羽織を見つけた。




【十四ノ章】
薄れゆく温もりの中で___終
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