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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第14章 薄れゆく温もりの中で


白澤は告げた。



「僕、もう……君と会うのやめるよ」



彼が放った一言は
あまりにも残酷で。

「い、や……そんなの嫌!」

紗英の頬に
冷たい涙の痕が
刻まれていく。

「君と居ると僕が僕で
居られなくなる。
……辛いんだ、凄く」

か弱く震える紗英の手を
振り払って白澤は去った。

「待って」

少しずつ
少しずつ

遠くなる愛しい温もり。

「待って……白澤様」

あれ程に熱かった身体が
哀しみで冷たくなっていく。

紗英が流す涙は
いつまでも、虚しく
花街の夜を濡らし続けた。
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