第12章 炸裂母親節
「ああ……もう
分かりましたよ」
二人が口論を始めてから
一時間弱が経過した頃。
紗英に健やかな転生を
説き続けた鬼灯が
ついに根負けした。
「そのしつこさには負けました」
魂が抜け去りそうな溜息を
吐いて、鬼灯はジッと
紗英の目を見据える。
飛び跳ねて喜んでいた
彼女はその真剣な眼差しに
思わず動きを止めた。
極々、短い沈黙。
それから鬼灯は低く
声を落として告げる。
「その代わり約束して下さい」
彼が紗英に出した条件は、
後々二人の関係に大きな
変化をもたらすのだが──……
「……うん。分かった」
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.
「 」
空白を埋める台詞
彼女が赤らめた頬
鬼の条件を飲んだ、女の物語。
【十弐ノ章】
炸裂母親節___終