第12章 炸裂母親節
「駄目です」
少女が淡い恋心を抱いてから
数年が経った、ある日のこと。
賽の河原を抜け出した紗英は
鬼畜補佐官の自室を訪問していた。
「何でよ!鬼灯さまのケチ!」
地獄に来たばかりの頃と
比べれば、かなり豊かな
表情を見せるようになった紗英。
彼女は幼さを脱しつつある
目元を吊り上がらせて
鬼灯に食って掛かった。
「駄目なもんは駄目です」
「ケチケチ!ドケチ!ドS!」
「煩い!」
無自覚なドSこと鬼灯は
修羅の形相で言い放つと、
その右手を伸ばして
紗英の両頬を引っ掴んだ。