第1章 先生と生徒
私の前を通り過ぎて行く
あの姿は目に焼き付いて離れない
エメラルドグリーンの瞳に金色の髪
凛として落ち着いている先生は、いつでも私の憧れだと思う
先生は正門前で止まって生徒に挨拶をしている
笑顔の先生に私は、どういうのだろう
いつもと変わらない態度で接するに違いない
「先生、おはよ」
風が悪戯するようにスカートをひらひらと揺らす
近頃、寒くなってきたのでもうすっかり長袖の人が多い
私もブレザーを見に纏い少しませて髪を巻いてみたり化粧してみたりもする
勿論、秋になってきたので秋風に
そんな変化に先生は何の感想もくれはしない
「おぉ。眞白か。おはよう。遅刻しないで来たんだな」
アーサー先生とは普段から話す仲なのでさほどは気にしないつもりだが、物珍しそうな目と満面の笑みで私が時間通りに来たことに感心しているらしい
先生は気づいてないのかもしれないけど私はアーサー先生が挨拶運動している時は遅刻したことがない
はそれ以外の時はどうでもよいので遅れること多数
きっと先生たちの間でブラックリストに載っているに違いない
「そうだよ。遅刻しないで来た。先生のためにね」
「あぁ。これから毎日そうしてくれると助かるんだがな」
困ったような表情を作って私に向けてくる
先生、それは反則
でも私の気持ちもそんなに緩いものでもないし決めたことはするけれど、やる気のないことは絶対にしない
融通が利かないとよく言われるが、そんなことはお構いなし
私はアーサー先生が目の前にいて私を見ててくれればいい
後のことは問題外だ
「じゃ、先生が毎日正門に立っててよ」
周りの草花が騒ぎ出したように、ざわざわとしている
まるで先生の心が現れているみたい
先生はきっと、また苦笑して優しい言葉を私に言うのだろう
この髪も、顔も、性格も、それに対しては対象外のように優しい言葉を発しないのに
本当に馬鹿みたい
先生、優しすぎると後から反感買うよって教えてあげたいくらい
「それは無理だ。俺だって仕事上ずっとというわけにはいかねぇからな。それから早く教室入れよ」
次々に先生の前を通る生徒に何もなかったかのように私と同じ笑みを向ける
私に対してぶっきらぼうに言った後、男子生徒とも楽しそうに会話していた