第6章 センチメンタル
夕暮れの空、夜に近い
もう僕は一人じゃないのに、
この色の空を見ると涙が出そうになる
…
「何してるの?」
スマホに文字を打ち込んでいる僕に、みなみがそっと声をかける。
「ん…詩を書いてた」
顔を上げて、僕は答える。
「スマホで?」
興味しんしんに、彼女は質問を重ねる。めずらしい。
「とりあえずメモをね」
「どんな詩?」
「センチメンタルを書きなぐっただけだよ」
「見せて」
「嫌だ」
「わたしは何でも見せてあげるのに」
「ふふ…好きだよ」
僕の言葉に彼女は楽しそうに笑い出す。可愛い。
「ごまかしたくて、そんなこと言うんでしょ」
僕の背中に、彼女が抱きつく。
「そうだけど、本当だよ」
「わたしも…だよ」
後ろから、僕の顔を覗き込み、彼女は僕の頬にキスした。