第2章 赤い次男の場合 「ネクタイ」
「どおしたの」
「明日休みだからそんまま来た」
家に来た彼は
1時間前まで放送してた
ニュース番組の衣装のまま。
私に早く会いたくて
急いで来てくれたってこと?
そういう解釈でよろしい?
なんて、ニヤけた口元に手をあてた。
「でもそれ衣装でしょ?」
慣れたように靴を脱ぎ家に上がる彼が
背広に手をかけ「ハンガーは?」
とでも言うような目で私に手を差し出す。
「あ、はいはい」とハンガーを手渡すと
それを自分で壁にかけて。
「ん、まあ…買い取った。必要だったから」
「…必要?」
仕事上、スーツは沢山持ってる彼。
今さらそれが必要?
何故だろう、と不思議に思いながら。
「あ、俺、腹…減ったかも」
意外と亭主関白な彼と、
それが意外と嫌いじゃない私。