第6章 ズルい男《今吉翔一》
_______After that
結局、今吉さんとの関係は変わることなく“いつも通り”なまま。
今日もこの講義が終われば、自分の家に帰り着飾って今吉さんの家へ向かうのだ。
「お前、まだ妖怪と会ってんのか?」
「真……」
大学で専攻している学科が同じの花宮真。
コイツと私は高校の同級生で、真の普段の姿が猫被りモードなことを知っているぐらいには仲が良い。
ひょんなことで私と今吉さんの関係を知られてしまい、たまーに話を聞いてもらっている。
「こりねぇな、お前も。あの人が特定の女作らねぇって分かってんだろ」
「分かってるけど……っ」
告白さえもさせてもらえなかったけど、やっぱり私は今吉さんが好きで。
こんな関係続けても無駄だって分かってるけど、やっぱりに側に居たくて。
何も言えずただ黙って俯いていると、真が「馬鹿な女」と呟いたのが聞こえた。
「そう、だね……」
顔を上げて力無く微笑むと、真は心底鬱陶しそうな顔を私に向けた。
「でも… 自分の気持ちには素直でいたいから」
「フハッ、報われねぇのに?」
「…うん」
「滑稽だな」
「何て言われようがかまわないよ」
「……ほんと馬鹿な女」
真の怒りと呆れを含んだ声。
(馬鹿な女だなんて分かってる……)
それでも私は。
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