第6章 変若水
次の日。
山南さんは今は落ち着いて眠っているらしい。詳しいことは目覚めてからでないとわからないが、羅刹化に成功したと思われる状況らしい。
しかし今後、山南さんは表に立ち辛いということで、死んだ事にして新撰組を束ねる役を命じるとの決定だった。
今後の相談をしていたその時、襖が開くとそこに立っていたのは伊東だった。
伊東「皆さんおはようございます。昨日は何やら騒動があったらしいですわね。私はそこに居合わせていませんでしたし、どなたか説明していただけるかしら。」
説明など出来るわけがなかった。
伊東には変若水の事も羅刹の存在も教えていない。
更にこいつはいずれ新選組を裏切る者。何があっても言える訳がない。
そんな中、斎藤さんは冷静に伊東へ告げる。
斎藤「伊東参謀がお察しの通り、昨晩屯所内にて事件が発生しました。状況は未だ芳しくなく…」
伊東「まぁ…」
斎藤「参謀のお手を煩わせる事態は我々も好ましくありません。故に解決次第また改めて報告させていただきたく思います。」
伊東「状況はわかりました。では、早急なる事件の解決を心待ちにしてますわね。」
斎藤さんの説明のおかげだろうか、その場はなんとか凌げたようだ。
しかし、下手な事をすれば今後に悪影響を及ぼす危険性もある。
しばらくは気が抜けなさそうだ。