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薄桜鬼 群青桜

第19章 【外伝】千月


西暦2000年を過ぎてから、鬼の絶滅は寸前まで迫っていた。
残された男鬼達は、少しでも強い鬼を自分の一族に残したいが為に女鬼を巡って抗争に明け暮れた。

あまりに残酷で欲にまみれた内部抗争だ。
今まで馬鹿にしてきた人間と同じ事を、更に酷く。

やがてその抗争は男鬼の数が女鬼を下回る形で収束した。


さらに少数一族となった鬼をこの機に絶滅させようと人間達が次々と攻めてくる。

人間は俺たち鬼を執拗に忌み嫌う。
俺たちを全滅させる事に何の罪悪感も感じていなかったんだ。

それでも必死に抗って、何とか絶滅を免れた鬼達。でももう統率も乱れ、いつ壊滅してもおかしくない状態。
そこで残った鬼の中で、人間の血が強い者は人間社会に紛れ込んで鬼の姿を偽り、鬼の血が強い者は一箇所に集まって結束した。

それを統括していたのが十鬼夜家
十鬼夜家は残った鬼の一族の中で一番力もあったし、最後の純血鬼も保有していた為に一任された。


"一任された"というのも、命令だったからだ。俺たちより権力を持つと支持された一族に。

八瀬家。
はるか昔より血を繋いできた古き一族だ。
鬼としての血はかなり薄まってしまったが、代々一族に伝わる夢見の力、近い未来を見ることが出来る力だけは確実に受け継いできたらしい。だから権力を絶えず握り続けることができたんだ。
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