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薄桜鬼 群青桜

第16章 来訪者


「千月様、少し2人だけでお話出来ませんか?」

颯太の複雑な表情の前で千姫は提案する。

「彼女の決断とは別に伝えなければいけない事もあります。」

「2人きりになった途端攫って行く。なんて事はねえよな。」

「約束します。私達が彼女に危害を加える事は絶対にありません。それは今回だけに限らず、今後も。」

原田さんからの率直な疑心をも威厳のある声で晴らす。

「万が一その様な事があったとしても、私はそう簡単に攫われるほど弱くはありません。」

私も念押しし、最終的に許可を得ることが出来たため、千姫を自室へと案内した。


「しつこい様でごめんなさい。千月様の意思はわかりました。でもやっぱり、例え貴女が別世界の鬼だとしても、同じ種族としてその命を守りたいと思うの。
確かに新選組の方々も強いけど、それはあくまで人間として強いだけで、どうしても鬼には敵わないと思う。」

厳しくもそれが現実であると痛感させられる重い言葉を並べられる。
言い逃れなんて出来ない。私だって同じ事を思っている。
でも私は

「守られるためにここに居るわけではない。私はこの場所で為すべき事がある。だからどうしても離れるわけにはいきません。」

譲れない思いを胸にここに居る。それを片時も忘れる事は出来ない。
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