第15章 暗躍
そしてこの翌日、伊東はこの事件を口実に離隊を申し出た。
「山南さんの消息を偽っていたなんて信じられませんわ。それにあの白髪の隊士も。
幹部への伝達をも蔑ろにするようなところではもうやって行けません。同志を連れて出て行かせてもらいます。」
羅刹の存在を公にしないという誓いの元、伊東を支持する13の隊士と共に新選組屯所を後にした。
「クソッ。昨日の今日で早速離隊か。」
「昨晩の一件を口実にするのが一番手っ取り早いと思ったのでしょうね。」
幹部からも2名、平助、そして斎藤さん。
伊東が屯所を去る間際、私へと向けられたその視線から、以前私に命を下した時の言葉が脳内を過ぎった。
_____「これからは間者として、新選組の大義に勤めてくださいね。」