第2章 夜なのに太陽が顔を出した
「席はーそうだな。
仁王の横でいいか」
「仁王…さん?」
「あの銀髪だ」
「あ、はい」
今さらだけども
テニス部も大概おかしな髪色だよね
赤に銀に青って
カラフルすぎだろ
そう考えると
なんかピンクが普通に見えていたよ
不思議だねぇ
先生が仁王と言ってから
丸井くんは悔しそうに舌打ちをし
仁王くんは嬉しそうに
右手でガッツポーズをした
そんなにあの子の横が
いいのかい?謎だよ謎
西崎さんは仁王くんの横に座り
「よろしくね、仁王くん」
なんて言いながら
最高の笑顔を見せていた
そんでもって仁王くんが
「あぁ。仲良くしたいのぉ」
なんて柄でもない事言うもんだから
女子は皆、西崎さんを睨んでる
丸井くんに至っては
「俺、丸井ブン太ってんだ!
シクヨロ!」
って、ガムを渡す始末
西崎さんは笑みを綻ばせながら
ガムを受け取り
「うん!」
と言った
一体、西崎さんは
何者だろう?
是非とも喋りたいものである
いい感じにテニス部と
関わってくれたから
私はご機嫌 満足
まさか、テニス部が
あんな反応だとは流石に
思ってなかったけど
柳くん風に言うなら
新しいデータ、ってとこかな
あれ?こんな風に言わないっけ?
%で言わないとダメか
「ねぇ、蒼」
「何?みぃちゃん」
私の後ろの席の
前城 実琴(まえしろ みこと)
何を隠そう彼女こそが
テニス部ファンクラブの会長さんだ
特に丸井くん推しらしい
知らんけど
「あの子何!?
丸井君や仁王君に
ベタベタしちゃってさぁ」
「確かにベタベタしてるねぇ」
「見た目も派手で!!
絶対テニス部狙いよ!」
「それは分かるかも…」
よく見てみれば
他の男子もチラチラと
西崎さんに注目してる
そういう人種の人なのかな
異性から気にされるっていう
そりゃ他の人から見たら
いい気分しないよね
だって一気に
自分が脇役に感じてしまうでしょう
私? 私は元から脇役さ
主役なんざ望んでないね
そんな注目されるとこより
陰で動く方が好き
あれ、厨二っぽく
なっちゃった