第8章 変化って奴は気まぐれさ
「離して…!」
「うるせぇ!!
黙れよ!!!」
いや、声は貴方の方が
完全に大きいからな
もう半狂乱じゃないか
口調も荒くなっちゃって
「っ、!?」
荒い音がして
腹部に痛み
どうやら彼女に
思いきり殴られたようだ
ズキズキと重い痛みが広がる
思わずしゃがみ込むと
今度は髪を引っ張られ、無理やり
上を向かされた
抵抗できない状態で
昨日と同じ箇所を強く叩かれる
「や、…!
やめて、金坂さん!!」
「ふざけんな!ふざけんな!」
耳障りな音と共に
身体中に痛みが増えていく
流石に痛み慣れなんて
平凡人な私はしていないので
急激な痛みに意識が飛びそうになる
でも、耐えなきゃ
きっともうすぐ
来るはず
「蒼?どうかしたの?」
「!?」
ほら来た
私の大事な、みぃちゃん
私が教室に5分以上も居ないとなれば
みぃちゃんは絶対探しにくる
私が行く場所なんて
ロッカーかトイレしかない
私はみぃちゃんに簡単に
見つけてもらえるのだ
「はっ!?金坂!!
アンタ何してんのよ!!」
「っ…!」
「み、ぃちゃ」
「蒼!?
金坂!!蒼になんてこと!!」
金坂さんにボロボロにされている
私を見てみぃちゃんは
驚きと怒りの表情を見せた
金坂さんは唇を噛み締めて
みぃちゃんを睨みつけている
私はか細い声で
みぃちゃん、と言えば
それでいいの
「騒がしいけど
何かあったのー?」
「ねぇ!先生呼んできて!」
「なっ!?」
「は!?どしたの!?」
「金坂が蒼に!!」
「わ、分かった!呼んでくる!」
騒ぎに駆けつけて
先生を呼びに行った女子生徒
それに気づいて野次馬がドンドン
増えてくる
もう、金坂さんは逃げられない
青白い顔をして汗をたらしながら
ガタガタと震えている
やっと自分の終わりが
理解できたようです
「蒼!!しっかりして!」
「痛い…痛いよ、…」
「もう大丈夫だから!!」
思ったよりダメージが酷くて
フラフラする
ちょっと、ヤバイかも
みぃちゃんの声を聴きながら
私は意識を手放した
真っ暗な世界が広がって
もうなにも見えない