第3章 白雪姫と灰かぶりが共演らしい
「放課後にやるの?」
「うん。そう。
蒼も来る?」
「せっかくだけど…。
今日は買い物頼まれてるんだ」
ごめんね?と謝ると
みぃちゃんは全然!と笑った
ま、私はファンクラブの会員じゃ
ないから行く理由ないし
断っても、嫌な顔される
理由もないんだけどね
「ね、早く購買行こ!
パンが売り切れちゃ…」
売り切れちゃうよ、と
言いたかった私のセリフは
遮られてしまった
遮れたというよりは
言えなかったのが正しいか
急な衝撃で
勢いよく尻餅をついたから
腰がジンジンと痛む
「ったぁ〜…」
「蒼、大丈夫!?」
「うん、平気平k…」
「痛い!
どこ見て歩いてんの!?」
今度はしっかりと
言葉を遮られる
どうやら私がぶつかったのは
金坂 麗菜(かねさか れいな)さん
らしい
明るい茶髪が
フワフワしている
私はこの子が得意ではない
けど、きっと
この子も面白い事を
作り上げてくれるだろう
なんて言っても彼女は
現テニス部マネージャーだから
「は!?そっちが
ぶつかってきたんでしょ!?」
「みぃちゃん、いいよ。
私が悪かったんだ。
ごめんね、金坂さん」
こんな時に大声を上げなくても
みぃちゃんが代わりに怒ってくれる
私もこっちが悪いとは
思って無かったんだけど
わざと金坂さんを庇い
自分のせいにする
感情を表に出しすぎても
良い事はないからね
「フンッ。
しっかり前見て歩いてよね」
「うん。ごめんなさい」
金坂さんは立ち上がり
スカートをパンパンッと払って
急ぐように走って行った
ほんのりと香水の匂いが
残っている
あぁ苦手な匂いだ
鼻の奥に残るようなキツイ匂い
「金坂むかつく!!
テニス部のマネージャー
だからって調子に乗って…!」
「でも私が前見てれば
良かったんだから私が悪いって」
「蒼は良い子すぎ!
苛ついたら怒っていいのよ?」
「私は大丈夫だよ」
大丈夫、の合図のように
ニコリと微笑む
するとみぃちゃんは
可愛い!と言いながら
私を抱きしめた
可愛くはないし
こんな廊下で恥ずかしいなぁ
ま、みぃちゃんが満足するなら
させとけばいいか