第13章 家族
今、何て…。
呆けた顔の俺を見て、貴夜はため息をついた。
「まだカナダに行く前の話だけど、いづみが言ってたんだ。『もうひとりお兄ちゃんが出来たみたいで嬉しい』って」
あの子、そんなこと思ってたのか。
「皆お前のこと受け入れてるし、家族同然の様に見てる。だからさ、あいつらに応えてやってくれよ」
昔から、家族と言うのがよく分からなかった。
でも、貴夜たちに出会って、家族の温かさを知れた。
もうその時点で俺は、こいつらの「家族」になってたんだな。
「そうだな…。勿論、お前も歓迎してくれてるんだろ?」
「は?してねぇよ」
そんな言葉も、今の貴夜の顔見たら嘘だってすぐ分かる。
本当に、嘘をつくのが下手だな。
「にやつくな」
「いーじゃん別に。嬉しいんだからさ」
「………そーかよ」
少し笑みを見せた貴夜に俺はもう我慢しきれず襲ってしまって殴られたのだが……それはまた、別の話。