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ツンデレと腹黒のそれから

第1章 カナダ


「やめろよ、こんな所で…」


顔を背け、野木の体を押し返す。


「いいじゃん、別に」


するりと腰に手をまわし、俺を抱き寄せた。

そして今度は、深く口付ける。


「んっ……」


口の端から声がもれだす。

ぎゅっと野木の服を掴み、声を耐える。

角度を変えられながら、舌を絡められながらも必死に我慢した。


「っ…ふ……ぁ」


それでも少しずつ、声がもれ始める。

俺、多分こいつのキス好きだ。

気持ちいい。

暫くして離され、肩で息をする。


「野木……もうやめて…。腰立たない」


野木に支えられる形で、今はやっとの思いで立っている。

そんな野木は意地悪そうに笑った。


「嫌だ、名前で呼んでくれるまでやめない」

「はぁ!?」

「あ、今だけって言うのも無しだからな。これからずっとだ」


これからずっと、だと…?


「嫌だ恥ずかしい…」

「今更なんだよ。たまに呼んでる時あるじゃねぇか」


つかこんな感じのやり取り、高校の時にもした覚えがある。

これから起こることを考えると、名前で呼んだ方が安全だな。


「わ、分かったよ…………は、はや、と………」


でもやっぱり恥ずかしい。

真っ赤になっているであろう俺の顔を、野木…いや、隼人が覗き込む。


「よく出来ました。じゃあご褒美な」

「え?ちょ、待って………うわぁぁぁぁ!」




そんなこんなで、俺たちのカナダでの新しい生活が始まった。
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