第5章 社長の気持ち
クラウスさんは「ちっ」と舌打ちした後、俺のポケットから携帯を取り出す。
「野木隼人って、書いてあるよ」
その画面を俺に見せながら、クラウスさんは楽しそうに言った。
「このまま僕が出てもいいけど…。いいこと思い付いたよ」
「え?」
クラウスさんは通話ボタンを押し、俺の耳元に携帯を置いた。
『もしもし、貴夜。俺だけど…」
「はや……んぁ!?」
クラウスさんが、突起を摘まみいじり始めた。
『貴夜!?』
必死に声を我慢する。
「んっ……く、ぅ」
『おい、貴夜!』
クラウスさんはニヤリと笑い、次に舌で転がす。
「やっ…それやだ……あ!」
ビクッと体が跳ねる。
隼人の声が耳元で聞こえるが、返事が出来ない。
助けて。
何度もそう言おうとするが、口からもれるのは俺の変な声だけ。
『貴夜、今何処に居る!?』
「ん、ぁ……はや、と」
やっとの思いで出たあいつの名前。
続けて言葉を発しようとしたとき、ズボンの上から、あそこを触られた。
「ひぁ…あっ!や、だ…そこ触らないで……」
『貴夜、社長の所だな!?直ぐ行くから!』
プツリと通話が切れると、クラウスさんは俺の携帯を手に取りテーブルに置いた。
「まったく、勘のいいやつはやっぱり嫌いだな」