第5章 社長の気持ち
困惑する俺。
クラウスさんは、優しい手つきで俺の涙を拭う。
「ごめんね、泣き顔にちょっときちゃった」
ネクタイを緩めながら、クラウスさんは優しく笑った。
「あの、クラウスさん、俺……」
「分かってるよ、野木隼人くんだろう?」
ネクタイを取ると、俺の唇を、自身のそれで塞いだ。
「んっ…!」
角度を変えながら、何度も何度も口付けられる。
「口、開けて」
ペロッと唇を舐められ、体がピクリと反応した。
クラウスさん、どうしてこんなこと…。
顔を背け押し返そうとするも力では敵わず、両手を頭上でまとめられ、ネクタイで縛られた。
「クラウスさん、やめてくださ……んぅ!」
俺が言葉を発したのを見計らい、一気に舌を口内に侵入させる。
逃げる俺の舌をうまく絡め取った。
「んぁ…ふ、ぅ…」
嫌なのに、抵抗しようとするが体がうまく動かない。
酒が回っているからだろうか。
唇が離され、次にクラウスさんは俺の首筋に舌を這わせた。
「クラウス、さん、やめてください……っ!」
ピリッとした痛みが走り、痕を付けられたのだと直ぐに分かった。
反対側にも痕を残し、服を捲り、鎖骨にも順に付けていく。
「は、ぁ…っやめ、て…」
クラウスさんは満足そうに笑みを浮かべ、ピンク色に染まった俺の胸の突起を口に含もうとしたとき。
俺の携帯が鳴った。