第3章 社長
俺は慌てて社長の手を取る。
大きな手だった。
全てを包みこめる様な、大きな…。
「君の手は、本当に綺麗だね。特に、指が…」
社長の指で、俺の指が絡められる。
「あ、あの…?」
「あの時から、ずっと思ってたんだ」
そう呟いた社長は、俺の指先に軽く口付けた。
少し、ピクッと体が反応する。
「これからもよろしくね、貴夜」
「は、はい、社長さん」
びっくりした、急に指にキス…。
こっちじゃ普通なのか?
「社長じゃなくて、クラウスって呼んでくれ」
優しく笑う社長…いや、クラウスさん。
俺は少し躊躇いながらも、「クラウスさん…」と呟いた。
「ありがとう、貴夜」