第2章 仕事場にて
翌日の夜。
「カンパーイ!」
そう言って、係の人との飲み会が始まった。
外国のお酒は、少しアルコールが強いけど美味しい。
数十分して、係長が俺の隣に座った。
「タカヤ、楽しんでるか?」
「はい、とても」
「ならよかった」
そう言って、係長が一口、お酒を飲む。
グラスを置き、俺を見た。
「タカヤに、聞きたいことがあるんだ」
「?」
真剣な眼差しで見つめてくる彼女につられて、俺も真剣な表情になる。
そして係長は、ポツリと呟いた。
「お前、ハヤトと付き合ってるのか?」
顔が熱くなる。
何でばれたんだ。
もしかして、あいつが言ったとか?
「言っておくが、これは只の私の推測だ。誰かから聞いたとかじゃない」
係長が微笑む。
まぁ確かに、彼女が嘘を言うとは思えない。
昨日のことを思い出す。
そのせいで、もっと顔が赤くなった。
「…俺たちは、付き合ってます。6年くらい前から」
「へぇ、結構長いんだな。お似合いだよ」
係長が嬉しそうに笑い、グラスを手に取る。
それから、「でも…」と付け加え、グラスのお酒を飲み干した。
「男女問わず、タカヤを狙ってる奴は少なくない。多分これから増えてくるだろう。早目に、付き合ってることを言った方がいいかも知れない」
この時はよく分からなかったが、彼女の言葉に、俺は大きく頷いた。