第16章 ハロウィーンパーティー
「この状況で戻れると思うか?」
いや、まぁ、無理だけど…。
「でも、俺には仕事がある。係の目標で、お菓子全部配るって言うのがあるんだ。だから今は戻らせてくれ。後から何でも言うこと聞くから」
と、苦し紛れに言って早速後悔。
何故なら、隼人が何か企んだ様に笑ったからだ。
「何でも、聞いてくれるんだな?じゃあ戻ろうぜ」
「あ、いや……」
「何でも…聞いてくれるんだよな?」
「ぐっ…」
目が、「お前に拒否権はない」と語っている。
俺って結構振り回されてるよな…。
でも、その、あれなわけだから一緒に居るわけで。
振り回されるのも慣れたし。
「おい貴夜、行くぞ」
先に歩いていた隼人は振り返り俺を呼ぶ。
「あぁ」
隼人の背中を追いかけ、隣に並んだ。
こうやって肩を並べて歩くのも、悪くない。
ただ少し、ドキドキする。
それが少しだけ心地好いと感じているのは、ひとりだけの秘密だ。