第99章 【東峰 旭】U&I
「お誕生日おめでとう!そして明けましておめでとう!!」
1月1日。
今日は旭の誕生日。
旭は私の部屋へ泊りに来ていた。
私は事前に作っていたケーキにろうそくを付けてテーブルに運んだ。
勢いよく火を消した旭は少し照れくさそうに笑った。
「寝て起きたら、一緒にプレゼント買いに行こう?」
今年は就職をするので、仕事に使う物を送りたいと思っていた。
せっかくなら自分で気に入った物を使ってほしいので、一緒に見て選ぼうと決めていた。
「ひろか・・・」
「ん?なに?」
旭は急に眉間にシワを寄せて、正座をし始めた。
「あのさ・・プレゼントはいらない。・・っていうか、その・・」
「えっ・・ど、どうしたの?」
私も咄嗟に正座になって、旭が口を開くのを待った。
するとゴソゴソと鞄から何かを取り出し、それをギューッと強く握った。
「俺への誕生日プレゼントは、ひろかの左薬指がいい!」
そう言うと、手に握っていた小さな箱を私の前に差し出した。
旭の大きな手で開かれた箱の中には指輪がキラリと光っていた。
「あっ、いや、この前結婚はまだ早いって断られたけど・・その、予約っていうか。俺も今日で18歳だし、結婚できる年齢になったから。まだ全然金もなくてこんな安物だけど、いつかもっともっとスゴイの買ってプロポーズするから、それまでひろかの左薬指予約させてもらえませんか?」
そう言って震える手で指輪を差し出す旭。
部活ばかりでアルバイトなんて出来ないだろうから、きっと毎月のお小遣いを貯めて買ってくれたんだろう。
「バカだな・・旭は・・」
「・・えっ?」
私は旭の前にそっと左手を差し出した。
すると旭は焦った様子で指輪を箱から取り出し、私の左薬指に付けてくれた。
「き、緊張したー」
そう言って心臓を押えて猫背になる旭を見て、私はまた心がふわっと軽くなった。