第65章 【東峰 旭】3年生の俺から1年生の貴方に伝えたいこと
俺には好きな人がいる。
同じ学校に通う彼女。
俺は3年生。
彼女は1年生。
同じ学校でも俺たちが会える時間は少ない。
貴方がクラスメイトだったらどんなにいいか。
そんな事を考えても仕方がないと思うけど、やっぱりそう思ってしまうのは、少しでも貴方と一緒に居たいから。
始めて会った貴方は、小さい身体なのに元気いっぱいに挨拶をしていた。だけど足元を見たらとっても震えていて、つい笑ってしまったことを思い出す。
朝学校で会って声をかけると、
おはようございます。と丁寧に返してくれる貴方。
初めての事にいつも戸惑いながらも一生懸命取り組む真面目な貴方。
けど、まだ1年生。視聴覚室がどこか分からなくて迷ったりもしてた。3年生の俺が教えてあげると、恥ずかしそうにありがとうと言った貴方。
貴方に会いたくて、貴方が居そうな場所を推理して学校中を歩いた。
頑張り屋さんで、遅くまで学校に残っていた貴方。
時には失敗をして一人で泣いていた貴方。
どんどん貴方が好きになって、
貴方の事ばかり見つめるようになった。
目が合うと照れて笑う貴方。
秘密の交換日記に書かれた文字がとってもキレイな貴方。
たわいもない文でもポエムのように感じた。
卒業式。
俺はもう貴方が通うこの学校に来ることはない。
すごく寂しいはずなのに、俺は笑っている。
卒業証書を片手に貴方の元へ向かう。
貴方は今日も泣いている。
俺の卒業を惜しんで泣いてくれているのか。
それとも喜んで送り出してくれているのか。
俺は誰もいない教室に貴方を連れて行く。
今日こそ、胸を張って言うよ。
「大好きです。俺と付き合って下さい」
「ひろか先生」
TheEnd