第36章 【孤爪 研磨】猫男子×犬女子
「・・・ひろか?・・・何してんの?」
「ん~?」
今自分の部屋のベッドに座り、おれは昨日買ったゲームをしている。ひろかは俺の背後から腰に腕を回して、ベッドに寝そべっている。
「スキンシップだよ?研磨とスキンシップ!」
邪魔?っておれを見上げて聞く。
おれはゲーム画面から目を離さずに答えた。
「・・・いや、うん。・・・邪魔かな?」
アハハと笑って更に強く抱き着いてくる。
「研磨の匂い好きー」
そう言っていつも嗅いでくる。やめてよって言っても聞いてくれない。
「研磨ー、好きだよー」
「えっ、あっ、うん」
おれがそう答えるとえへへー。って嬉しそうにする。
ピロン
ひろかの携帯が鳴って、さっきまでおれの腰回りにあった腕がゆっくりと離れていく。
携帯を開いてアハハと笑いながら返信をしていた。それから何度も着信音が鳴った。
楽しそうにメールをしている。
“誰とメールしてるの?”
“おれといるより楽しいの?”
そんなこと聞けない。
その後に長めの着信音が鳴り、ひろかはおれの部屋から出た。
「・・・あっ」
ゲーム機の画面にはゲームオーバーの文字。
一気にやる気をなくして、ゲーム機をベッドの端に放り投げた。
“誰と電話してるの?”
“こんなおれの事本当に好き?”
ガチャ
携帯画面を見て微笑みながらひろかが戻ってきた。
おれはすぐにひろかに抱き着いた。
「研磨?どうかしたの?」
ひろかがおれの頭を優しくなでた。その後でぎゅっと抱きしめてくれる。
“ひろか、好きだよ”
心の中で何度も練習をした。それなのになんで言えないんだろう。
「研磨、好きだよ」
おれは腕の力を緩めて、ひろかの顔を見た。
「大好きだよ、研磨」
そう言ってひろかはおれにキスをしてくれた。
「研磨は私の事好き?」
「・・・うん」
おれがそう答えると、ニカっと笑うんだ。
「ひろかは…おれと居て楽しい?」
「うん!好きな人と一緒に居れたら、それだけで楽しい!」
おれはもう一度、ひろかを強く抱きしめた。
“好きだよ、ひろか”
心の中で、もう一度言った。
TheEnd