第5章 【及川 徹】守りたい子
僕には大好きな女の子がいる。
まぁ、女の子はみんな大好きだけど、
それとはまた違う。
大好きな女の子がいる。
「徹ちゃん、待ってよ~」
ひろかはいつも俺と岩ちゃんの後をくっついて遊んでいた。
どんなに男っぽい遊びでも構わずついてきた。
いつしか彼女のことを守ってやりたいと思うようになった。
「「お疲れ様でしたー」」
部活が終わると彼女はせっせとマネージャーの仕事をしている。
そんなひろかに俺はちょっかいをかけたくなる。
「ひろか~!下着透けてるよ?」
えっ!?と焦るひろかに、視線を集める野郎ども。
「うっそだよ~」
その後、こっぴどく岩ちゃんに怒られるんだけど、
岩ちゃんに怒られてた後は、ひろかに慰めてもらうんだ。
けど知っているんだ。
ひろかは岩ちゃんに恋をしていることを。
一緒にいればわかる。
なんで、俺じゃなくて岩ちゃんなの?
正直そう思うけど、どんなに俺がいい所を見せても
ひろかの目はいつも岩ちゃんを追っていた。
ひろかが中学に入ってからは、よく呼び出しを食らうようになっていた。
原因は恐らく俺だ。ファンの子達から嫌がらせをされていた。
付き合ってもいないのにこんな状態なのだから、
付き合ったりしたら、ひろかがどんな目に合うかわからない。
嫌がらせの事は知っていたけど、
ひろかが絶対に俺には話さないから、俺も知らないふりをした。
俺がかばった所で、悪化するだけだとわかっていたしね。
高校に入って恋人が出来た。
可愛い女の子だった。
するとひろかは嬉しそうに俺の話を聞いた。
そして、実は私も…と岩ちゃんへの恋心を打ち明けてきた。
とっくに気付いていたけど、
初めて知ったかのようにひろかの話を聞いてあげた。
付き合った彼女は本当に可愛かったし、大好きだったけど
全然夢中になれなかった。
あっという間にフラれてしまった。
なのに、岩ちゃんはちゃっかりひろかをゲットした。
岩ちゃんなんてすぐにフラれるだろうし。
その時は俺がひろかを頂いちゃうもんねー。
・・・嘘。
絶対付き合わないよ。
だって、彼女は俺の守りたい大好きな女の子なんだから。
The End