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【★ハイキュー!!★】短編集

第18章 【月島 蛍】主導権


「蛍~、お茶でも入れる?」

夕食後、彼女はキッチンから僕にそう呼びかける。

「・・・いい、自分で入れる」

僕はそう言って、彼女の元に行った。

ぎゅっ

エプロン姿の彼女を後ろから抱きしめる。

「どうしたの?珍しいね、蛍が甘えてくるなんて…」

彼女は動揺なんてせずに、
僕が抱きしめても片づけを続行する。

「なぁーんかあった?」

「べつに…」

僕がそう答えると、ふーん。とまた無言になる。

「ねぇ、彼氏が抱きしめてるのに無視ですか」

「無視はしてないよ~。ちょっと邪魔だけど」

彼女はいつもこんな感じだ。
変にベタベタしたりしないし、
僕の中にずかずかと土足で踏み込んできたりしない。
その距離感が僕にはすごく居心地が良かった。
こういう時、大人の女性だと感じる。


彼女との出会いは兄貴のバレーチーム。
僕が練習に参加した時に、マネージャーとして
彼女はそこにいたのだ。
近くの大学に通う女子大生。

付き合ったきっかけも彼女からだった。

「蛍くんさ…私のこと好きでしょ?」

「・・・っ!」

「付き合おっか」

僕はどんどん彼女にはまっていった。



「よし、終わり」

やっと彼女は片づけを終わらせて、
僕の方を振り返ってくれた。

「食後のショートケーキ、食べますか!」

そう言って、僕の腕からスルッと抜けて
冷蔵庫を開ける。

「こんな時間に食べたら太るよ?」

「太ってから考えます~」

僕の嫌味だって通用しない。

彼女はケーキと紅茶を出して、
早く食べようと急かしてくる。
大人かと思ったら、時々子供っぽくもなる。
本当、意味不明。


普段から、僕の行動や言動にもビクともしない。
大人だなって思うけど、時々それが気に食わない…。

「ひろか、もうベッド行くよ」

「野獣くんが一匹いるからな~」

彼女はまた僕をたぶらかす。
そんな彼女を強引にベッドへ連れて行く。
この時だけは主導権は僕だから。

彼女をベッドに寝かせ、
僕は彼女の動きを封じて、深くキスをする。
吐息まじりの彼女の声が可愛くて、
ついつい苛めたくなってしまう。
唇を離し、僕を見つめる彼女にどうしたの?と
意地悪を言った。

「蛍・・・好きだよ」

「・・・っ///」

今の主導権は僕だと思っていたけど。
やっぱり、どんな時も主導権は彼女のものだ。

TheEnd
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